5軸加工の基礎の基礎

◯軸加工ってなに?

〇軸加工ってなに?

よく3軸加工とか5軸加工とか聞くことがあると思いますが、『軸』とはいったい何を指しているのでしょう?『軸とは』とweb検索すると辞書的な意味としては『回転するものの中心となる棒』と定義されています。

マシニングセンタの『軸』で一番重要なのは言わずもがな『主軸』です。しかしながら◯軸加工と言ったときの軸には『主軸』は含まれません。

では何が含まれるのでしょうか?

一般的な立形マシニングセンタはX方向、Y方向、Z方向と3方向に動くことで3次元空間上の様々な点に位置決めし、切削をおこないます。X、Y、Z各方向に動くために工作機械にはモーターやボールねじが組み込まれています。このモーターやボールねじの軸が『◯軸加工』と言ったときの『軸』ということになります。

X、Y、Zすべての軸を使って自由曲面を削るような加工を『3軸加工』と言います。この3軸に『回転軸』や『傾斜軸』とよばれる2軸を足すことにより刃具とワークの相対角度を様々な方向に向けることができます。

これにより斜めの面や穴の加工ができるばかりでなく、直線3軸+回転2軸をすべて同時に動かすことにより複雑な形状の加工ができるようになります。

これを5軸加工と言います。

5軸加工の種類

5つの軸を使って複雑な形状を加工する5軸加工にも大きくわけて『割り出し5軸加工』と『同時5軸加工』の2種類があります。

割り出し5軸加工

2つの回転軸を使って任意の角度を割り出したのち、直線軸を使って加工をおこなうこと。(位置決め5軸と呼ぶこともあります)

同時5軸加工

直線3軸+回転2軸すべてを同時に動かして加工をおこなうこと。意図的に任意の軸を固定(動かさないようにする)しない限り、常に5つすべてが動いていなくても同時5軸と呼ぶことが多いです。

どちらがすごい!とか、どちらが優れている!ということではなく、ワーク形状や段取り方法、加工機の特性にあわせて最適な加工方法を選ぶことが重要となってきます。

5軸加工のメリット

5軸加工のメリット

段取り回数を少なくできる

一般的な3軸のマシニングセンタでは一面毎に段取り替えをして製品を仕上げていきます。それに対して5軸のマシニングセンタでは一度の段取りで複数の面を加工することができるため、段取り回数を大幅に減らすことができます。段取り回数が減らすことにより治具費の削減、精度の安定、製作時間の短縮などさまざまなメリットを得ることができます。

工具を短くできる

3軸の加工においては干渉物をかわすためにはそれよりも長い工具を使用する必要があります。5軸加工では干渉物に対し斜めにアプローチすることにより短い工具で加工することができます。これによりビビリ防止や加工寸法、面品位の安定につながります。

複雑形状の加工がおこなえる

同時5軸加工をおこなうことにより、アンダー形状や細いトンネルのような形状、ブレードやインペラなど複雑な翼面の加工をおこなうことができます。またバレル工具やティアドロップ工具などと組み合わせることにより効率的に複雑な製品をつくることが可能となります。

以上、良いことずくめの5軸加工ですが、はじめるためにはそれにあった設備CAM工具などが必要となります。

アルビテクノロジーはみなさまのスタートアップ5軸加工をトータルでサポートいたします!

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